2013年4月22日月曜日

阿賀野川ライン舟下り・船頭 林真一郎さん~特集・新潟仕事人vol.8


ネスパスには新潟からたくさんの仕事人がいらっしゃいます。


今回は、文京区本郷出身、阿賀町在住。
道の駅「阿賀の里」駅長兼、阿賀野川ライン舟下りで
リピーター率No.1の船頭さん、林真一郎さんをご紹介します。

「若い人たちと一緒に、もっと阿賀町を盛り上げたい。」

広い背中に、阿賀らいん。

元焼き鳥屋さんで落語家を目指した過去もあるという、
気になる経歴の持ち主、林さんにお話を伺ってきました。


---きっかけは『船頭さん、募集!』

15年前、林さんは東京でやきとり屋さんを営んでいました。
しかし、不安定な収入、家族やこれからの将来のことなどを考え、
お店をたたむことになり、転職活動をスタート。

たまたま訪れた転職フェア(U・I ターンフェア)で、こんな言葉に出会いました。

『船頭さん、募集!』

当時、若干名の募集に応募は30名。
だめかなぁと思っていたら、見事合格!

家族から、船頭になることへの反対はなかった、と林さん。
しかし、妻も、小学校に上がったばかりの子どももいる。家もある。
そんな状況でのI ターン就職。
2か月家族と話し合い、単身赴任で阿賀町へ行くことになりました。

でも、林さんの決断は、決して夢や熱意、勢いだけの行動ではありません。
自営業と違い、毎月決まった額のお給料があり、子どもの学費、これからの
将来設計がたてやすい。それに、奥さんも東京で働いてくれている。
そんな状況を踏まえ、現実的な選択として、船頭さんへの道を選んだのです。



---超一流の田舎町、阿賀町です!

林さんは昔、落語家を目指していらっしゃったとか。
だからなのか、仕事柄か、人柄か。
接客・呼び込みが、もの凄く上手い!

“超一流の田舎町、田舎のエリート、阿賀町です!”
なんて気になるフレーズで、道ゆく人の足を止めます。

「こう言うと、地元の人には怒られるんですけどね。
 
 でも私は、尊敬の念を持って、自信を持って、
 超一流の田舎町、田舎のエリート、と言っているんです。

 本当に田舎で、夜は真っ暗。まさか自分が、夜9時に寝るなんてね。
 東京にいるときは、考えられなかった。
 
 なんにもないことの素晴らしさ、それをどう伝えたらいいのかな。」


昨年行われた、阿賀町のイベント。呼び込みはさすがプロ!


----船頭という仕事

阿賀野川は、新潟・福島・群馬の3 県にまたがり、
四季折々の風情と景観を持つ、日本有数の河川です。
http://www.aganogawa.jp/about/

そんな阿賀野川が、林さんの職場。


「船頭は、船の上ではスターになれる。
 ガイドも、小噺も、舟唄も歌うし、お客さんからのリクエストにも応えます。

 自分の言動に、ダイレクトに反応が返ってくる。
 1 回の舟旅は、40~50分。でも、たった40分で、
 お客さんが感動して、喜んだり、別れを惜しんで泣いてくれたりもする。

 そんな仕事、なかなかないじゃないですか。」


逆に、お仕事の辛さはどんなところでしょうか?

「自然相手の仕事ですから、自然の恵みも、厳しさも感じます。
 阿賀野川ライン舟下りは、1年中船を出しています。
 冬場の雪かきはいまだに辛い作業です。
 あと、水害ですね。

 阿賀野川は、2年前に大きな水害もあったけど、1年に1回は水害が起こる。
 このときは、船が流されないよう、みんな徹夜で船の番をする。」



----現在、そしてこれから。

「現在、アルバイト含めて15人の船頭がいますが、
 高齢化が進んでいます。平均76歳くらい、80を超える方も。
 世代交代が課題です。

 と言い続けて、15年経ってしまいましたが。笑

 まだまだ、『船頭さん、募集!』中。

 一緒に働きたいなぁと思うのは、感動できる人。
 ちょっとのことでも、「おぉっ」とか「すげぇ~」とか、
 リアクションがある人ですね。

 夢や熱意も必要だけど、感動屋さんが嬉しいです。

 そんな若い人と一緒に、
 阿賀町や船頭を盛り上げたい。」


船頭さんの募集はネスパス2F、U ターンセンターでもご紹介可能。
とはいえ、勢いだけでは続かないのが、U ターン、I ターン。
ぜひ、まずは相談員にご相談くださいね♪
http://www.niigata-uturn.jp/_uturn/

◆◆◆
道の駅阿賀の里は今年の7月で20周年!
阿賀野川ライン舟下りに、角神ダム湖遊覧船(4 月20 日~予定)、
魚市場にお食事処・・・他にも、寄席など催しも不定期開催されて
いるとか。ぜひお気軽にお問合せください。

超一流の田舎町で、超一流の舟旅を。

今回は、阿賀の里・林さんをご紹介しました♪

道の駅「阿賀の里」全景


■道の駅「阿賀の里」
〒959-4636 新潟県東蒲原郡阿賀町石間4301
TEL 0254-99-2121 FAX.0254-99-2665
http://www6.ocn.ne.jp/~aga1000d/river_no01.html

2013年4月16日火曜日

大力納豆・坂詰仁さん~特集・新潟仕事人vol.7


ネスパスには、新潟からたくさんの方々がいらっしゃいます。
今回は、新潟・魚沼の大力納豆 3代目、坂詰 仁さんをご紹介します。

新潟といえば納豆!
・・・と言われると、違和感がありますよね。

しかし、米どころ新潟。
ごはんのおともになくてはならないのが「納豆」です。
納豆と新潟の意外な関係とは?
納豆のプロ・坂詰さんに教えていただきました。




◆◆
~驚き 魚沼の納豆占い~
魚沼地域では昔、納豆が占いとしても活用されていたそうです。

*12月25日(納豆五日)
   ・・・納豆を仕込む日。藁につつみ、雪の中で発酵させます。
*12月31日(大晦日)
   ・・・納豆の出来を確認する日で、この納豆は占い的な意味もあったそうで、
     納豆の出来が良ければ、新年はいい年だ!となるし、
     悪ければ、気を引き締めていこう、とみんなで言ったそうです。
             
そして新年、出来の良かったおうちは、近所の方々に納豆を配って歩いたのだとか。

◆◆
~驚き 夏納豆ってなんだ!?~
夏納豆は、魚沼地域に昔からある食べ物です。
寒い寒い魚沼地域。冬場は冷蔵庫のない時代も、
なんら問題ありませんでしたが、問題は夏場。

どうにか夏場も納豆を食べられないか?
ということで考え出されたのが、こちら夏納豆(「塩こうじ納豆」)。



塩こうじ、と聞くと最近開発されたもののように感じますが、
大きなカメに納豆を入れ、塩とこうじを加え、しょっからくしたもの。
魚沼地域、それに新潟や山形などに昔からある保存食だそうです。

帰省の際に家庭に出てきて喜ばれたり、お土産にしたり・・・
現在は、しょっぱさは調整してあるのでご安心くださいね

◆◆

いやいやいや、
新潟と納豆、こんなつながりがあるなんて知りませんでした!
最近では、魚沼の「きりざい」も、注目されています。
納豆と、すっかく(漬けすぎてすっぱく)なった漬物を混ぜて、
ごはんと一緒にかっ込む、栄養満タンの郷土料理です。



現在の課題と、これからの展望について、伺ってみると・・・

「新潟県内で言うと、昭和40年ころには70社あった
納豆屋も、現在は実質10社ほど。
 高齢化や跡継ぎ問題など、課題はいろいろあります。

 自分もどこかで聞いた言葉なんだけど、

 “愚痴を聞いて育った人間が、同じ仕事をやりたい、
  なんて思ってくれるわけがない“

 つかれた~、しんどい~、こんな仕事、先がねぇ~
 って毎日聞かされてれば、誰だってやりたくないでしょ?

 だから、愚痴らないこと。
 これは大切にしています。 
 
 愚痴と一緒だと、酒も飯もまずくなっちゃうしね。笑」



どうせ飲むなら美味い酒。
どんな仕事でも、というか人間には、これって共通ですよね。

「私は、全国納豆協同組合連合会の青年同友会という、
 若い衆の長もつとめさせていただいています。
 今、米の消費量が減っていることに危機感を持っていて。
 このままいくと、日本食が廃れるんじゃないか、心配です。

 納豆は、ごはんのおとも。ごはんが減れば、納豆も減る。
 だから、納豆だけでなく、日本食文化を盛り上げていかないと。
 そんな活動ができたらいいな、と、考えているところです。」



ちなみに、坂詰さんご自身は、納豆屋さんを継ぐとき、

迷いや葛藤はなかったのでしょうか?

「もちろん、ありましたよ。ありましたけどね。
長男だったし、周りが納豆屋のせがれとして見るわけです。

 高校の選択授業で、音楽、美術、書道があって。
 音楽を選ぼうとしたら、「おまえ、納豆屋が音楽じゃないだろう」と言われて。
 思春期の少年にとっては、衝撃のできごとでした。笑
 結局、そこで書道を選びましたけどね。

 でも、改めて考えてみると、おふくろ(2代目)から、
 仕事の愚痴って・・・・聞いたことがないかもしれない。

 ・・・うん、そうだわ。
 忙しいことがうれしい人だからなぁ。

 だから納豆屋になれてるのかも。」






ちなみに現会長で坂詰さんのお母様である坂詰直枝さんは、
ネスパスのホームページにも登場していただいています。

粘り強い「大力納豆」、その力の源は、
忙しいことを嬉しく思う前向きさなんじゃないか。
そんな気がしました。

大力納豆の坂詰さん。
ぜひ知っていただきたい、新潟の粘り強い納豆屋さんです。



◆◆
大力納豆      http://www.dairikinatto.co.jp/
946-0035
新潟県魚沼市十日町360-6
TEL 025-792-0411FAX 025-792-7089
◆◆