2014年4月16日水曜日

表参道をお米参道に!?/『表参道ごはんフェス』実行委員長 平井巧さん~新潟仕事人vol.17



2014年春。

田植えシーズンを目前に、日本一ハイセンスなまち(!?)表参道と、新潟の代名詞でもある〝お米〟が、面白く楽しくコラボしたイベントが産声をあげました。

その名も、


『表参道ごはんフェス』!!!!!!!
http://gohanfes.com/
https://www.facebook.com/gohanfes


ネスパス3Fにて新潟のごはんとごはんのおともを楽しめるイベント〝うますぎる新潟!もりもり表参丼〟が開催された他、表参道・原宿エリアの別会場で、物産販売Okome de Mise、ワークショップ、トークライブや飲食、アートまで、4日間にわたりお米にまつわる楽しい企画が実施されました。新潟からは米袋をリデザインしたアイテムで人気の南魚沼米袋研究所(M.u.k.Lab)さん、佐渡の朱鷺と暮らす郷さん、雪輝屋さん、三条のデザイン会社muku.さんなどが登場。



「日本人にとってごはんは、今は、空気みたいな存在。
 食卓からごはんがなくなる、国産のごはんが手に入らない、
 なんてことは想像できないんじゃないでしょうか。

 だけど、20年後30年後。
 もしかしたら海外産の安いごはんが、
 日本の食卓の主流になっているかも。
 そんなことが、現実に起こり得る時代です。

 そんな今だからこそ、眉間にしわを寄せて
 「ごはん離れが~…」というのではなく。
 ごはんとの楽しい体験、美味しい体験を通じて、
 ひとりひとりがそれぞれに、
 ごはんに向き合う気持ちがもてる、アクションにつながる、
 そんな心動かされる場を提供したいんです。」


そう話してくれたのは、表参道ごはんフェス実行委員長・平井巧さん。

平井さんが、食、そして〝お米〟に興味をもったきっかけ。
それはなんと、我らが新潟県にあるとのこと(!)

一体、新潟の何が、平井さんを表参道ごはんフェスの実施へと、
突き動かしたのでしょうか?
お話を伺ってきました。



◇◇◇


---『食』との出会いは新潟県!


「出身は東京。高校時代は数学に興味があり、
 新潟大学の理学部数学科に進学しました。

 新潟で、知らない土地での一人暮らし。
 スーパーに行けば、
 「あぶらあげ、なんでこんなに分厚いのっ!?」
 って驚いた。笑

 知らない食材がたくさんあって、面白かった。
 しかも、美味しいし。

 それに、友達に料理を作って
 「おいしい!ありがとう!!」って言われるのも、
 嬉しかったんです。

 それで、ゆくゆくは食に関わる仕事、
 具体的には、東京で飲食店をやりたいなと
 考えるようになりました。」




---数学から、食へ。大きな方向転換ですが、
料理の勉強はどのようにされたのでしょうか?


「それが、僕の料理スキルは自炊程度なんですよ。笑

 僕の仕事は、食をエンターテイメントにすること。
 肩書はトータルフードプロデューサー。

 つくる方ではなくて、フードイベントの企画や、
 キャスティング、セールスプロモーション・・・
 総合的に食をプロデュースする、ということを
 やっている人間です。」


---食を、エンターテイメントにする。
この方向から食に関わろうと思ったのは、
一体どうして?


「実は大学卒業後、東京の広告代理店に就職しました。

 いつかは飲食店を、と思っていたものの、
 自分はまったくの畑違いで生きてきた。
 広告代理店は、会社や業界のことを
 深く知り、課題に対して手助けをするお仕事。
 食の業界、企業にも関わる機会もあるだろうし、
 独立を考えていたので、勉強になるなと思って。

 実際に、食に関わる企業やプロジェクトに
 関わることもできました。
 その後、30歳手前で独立のために、退職。

 でもまずは、飲食の世界を知りたくて、
 飲食店のバイトをかけもちしたんですね。

 その中で、たくさんの食のプロフェッショナル、
 シェフだったり、ホールだったり、
 それはもう素晴らしいプロに出会ったんです。

 一回りも年下の子が、自分にはできない、
 ものすごい技術やサービスを持っている。
 当たり前なんですが、
 『これは、かなわないな』 
 と思いましたね。



 だけど、複数のお店で働いたからこそ、
 見えてきたものもありました。

 飲食店で働く人の多くが、
 いつも同じ場所で、同じ箱で、
 同じサービスをすることに対する、
 もやもや、悩み。
 こういったものを共通して抱えていた。

 このもやもや、課題を解決するために、
 彼らがイキイキと働ける場を提供したい。
 それが、広告代理店を経験した自分が
 できることなんじゃないか。

 それで、〝うたう料理団〟という
 クリエイティブユニットを結成。
 それまで出会った食のプロたちと一緒に、
 イベントを開催する活動をしたり、
 イベントを企画したり人をキャスティングしたり、
 プロデュースという面から、食に関わっています。」



---新潟との関わりについて。


「新潟は食や人、風土がいいし、なにより広い大地、
 ずーっと広がる水田の風景は、たまんないですね。

 学生のころは学生生活として新潟を楽しんでいたけど、
 一旦新潟を離れて、仕事として新潟と再び関わりはじめて、
 さらに愛着が湧きました。

 仕事として新潟に行くようになったのは、
 水と土の芸術祭に、DAIDOCOさんのお手伝いとして、
 参加させてもらったのがきっかけです。

 ちなみに、DAIDOCOさんは新潟のフードユニット。
 過去にネスパスでもイベントを開催してくださいました。
 http://nespace.blogspot.jp/2013/12/daidocovol14.html

 このときは、新潟の人に新潟の野菜を知って、
 食べてもらいことを目的とした料理教室の開催を
 お手伝いさせていただきました。
 恵比寿の有名店のシェフをイベントに呼び、
 新潟の野菜を、タダフサ(三条の金物メーカー)の
 包丁を使って、作ってもらう料理教室でした。

 意外にも、ずっと新潟に暮らしている人ほど、
 燕三条が世界的な金物産地だってことを
 知らなかったりするんですよね。
 まずは、住んでいる人に新潟のことを知ってほしくて。

 新潟には、感度が高い人たちが多い。
 すごいなって思います。
 一方で、自分たちの魅力に気づいていない人たちもいます。

 新潟県民は、頼まれれば餅をつきに行く、
 なんて言葉もあるくらい、東京が好きだと言われます。
 たしかに、東京を見ている人も多い。

 だけど、自分たちの地元の魅力、
 もっと足元にいいものがいっぱいある。

 水土の料理教室のテーマも、実は同じでした。
 新潟県で新潟県の人のために、新潟の食材を紹介することで、
 足元にあるいいものに、地元の人が気付く、
 そんなきっかけを提供できたら。」


ちなみに、南魚沼米袋研究所は、南魚沼のお母さんたちの団体。米袋でアクセサリーやバッグを作って販売しています。
「お母さんが元気でいたら、家庭が明るくなって、そしたら地域が明るく元気になるでしょ?」と、お話ししてくださいました。なんてキュートでパワフルなママさんたち!
新潟には、こんな風に元気でキラキラした人たちがいっぱいいます。
https://www.facebook.com/m.u.k.lab.komebukuro?ref=stream



---そして、表参道ごはんフェスへ。

「ワインの祭典、ボジョレは日本でもかなり定着しました。
 このボジョレ並みの祭りを、お米でもしたいですね。

 表参道で開催することにした理由は3つ。

 ひとつは、小池精米店さんが表参道でお米屋さんをしていること。

 ふたつめに、表参道って実は昔、水田地帯で、
 現在も〝穏田〟って地名があるくらい、のどかな場所だった。
 それなのに今は、そんなこと想像もつかないお洒落なまち。
 このギャップが面白いな、と思ったんです。

 さいごに、情報発信という観点。
 表参道は日本だけでなく海外からの観光客も多い場所。
 外国人観光客にもリーチしやすい場所が、
 表参道なんじゃないかな、と思っています。」



---『表参道ごはんフェス』が、目指すものとは?


「僕、表参道を〝お米参道〟にしたいと思っていて。

 水田を復活させて、おいしいごはんをたくさん
 食べてもらって・・・
 表参道にコンバインを走らせるのもいいですよね。
 そんなお米の一大イベントで、
 ごはんやお米を取り巻く環境を盛り上げたい。」


持っているのは、栃尾のあぶらげのうま煮です。

食をエンターテイメントにすることを
仕事に選んだ平井さん。
そのきっかけは、新潟県の美味しい食材に触れた経験。

だれかが作った美味しい食材が、
ひとりの人間を動かして、
大きなうねりとなっていく。
そのスタートに立ち会ったような気がして、
とても嬉しい気持ちになりました。

新潟の農家さ~ん!食品の製造者さ~ん!
あなたたちがきっかけで、表参道では今、
こんなことが起こっていますよ~!!!

と、声を大にして伝えたい気持ちでいっぱいです。

そんな平井さんに、
『新潟の食べ物で一番好きなものは?』
と、イジワルな質問をぶつけてみました。


「新潟で一番好きな食べ物・・・
 いっぱいある・・・食材?食べ物?

 あぶらあげ、食に興味を持たせてくれた〝お米〟、
 ビールより断然好きになった〝日本酒〟、
 新潟の食材として一番好きなもの・・・

 決められない・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・。

 これはでも・・・・・・

 いや、やっぱり!


 新潟大学前の『まんにんや』のラーメン!!

 水土の時も、わざわざ電車に乗って、
 食べにいったくらいです。
 大学の風景とか、思い出とか、あいまって、
 ノスタルジックな気持ちになっちゃって。笑」




◇◇◇

どんなに美味しいフルコースも、
それを食べながら抱いた感情次第では、
もう見たくも食べたくもないものになる。

たのしい記憶。
おいしいと思った経験。

これに勝るマジックスパイスはありませんよね。


もうひとりの実行委員、大場さん(右)と平井さん。大場さんも実は、新潟出身!
(写真がブレブレですみません・・・)



新大前のまんにんやのラーメンが大好きな平井さん。

そんな平井さんだからこそ、表参道ごはんフェスは、
多くの人に〝楽しい記憶〟をつくっていくんだろうな、
そんなことを思いました。

次回は、お米の収穫の時期に開催予定!(詳細未定)とのこと。
“楽しむこころ”と元気な胃袋を準備して、
私も次回の開催を期待しています☆★☆


平井さん、ごはんフェス実行委員会のみなさん、
ありがとうございました~!




<表参道ごはんフェス>
http://gohanfes.com/
https://www.facebook.com/gohanfes